この病害菌がナラタケなどの材木腐朽菌であれば、当然この鞘葉も分解の対象となる!
これでは鞘葉の役目を果せない。
そういうことで、この鞘葉は、材木腐朽菌がエサとしないような非常にリグニン、セルロースを少なくした上に、
ほとんど養分を含まない細胞で出来ている。
防護壁である。
新芽の細胞が固くなったとき、この鞘葉はその役目を終える。
非常に功妙に出来ている。

ところが、この茶色になった葉鞘というのは、いかにも病害菌が繁殖するような不潔に見える!
そういうことでエビネ栽培本では・・・6月頃、この鞘葉を綺麗に取り除くことがかかれている!
しかし、これを除けば、まだ完全に完成していない若芽の地際の細胞が剥き出しになる!
防護壁を取り除くことだから非常に危険な作業である。
このとき肥料を与えたら・・・・ナンプ病菌が・・・・大繁殖し・・・若い細胞を犯すことになる!
自生地では、この鞘葉を取り除くことなど無い!

誰も肥料を与えない自生地では、この鞘葉が窒素を含む枯れた細胞になることはない。

ラン菌削除の肥料漬け栽培では、こういう場面でも非常に高いリスクの作業が、
いかにも清潔な栽培のように行われる場合がある。
肥料漬けの細胞というのは、非常に脆弱で、おまけに細胞には多量の窒素を含有することになる。
病気にかかる率が極端に高くなる!


鞘葉は材木腐朽菌による分解を遅くすることによって、大切な新芽を保護する。
植物は常に病害菌との戦いの日々である。
その攻防の激戦が発芽、新芽の伸びる時である。

しかし、病害菌もこの防護壁を難なく突破するものがある。
多年草の場合は、前年に株内に侵入して繁殖の時期をうかがう。
ナンプ菌がそれである。

だからナンプ病は始末が悪い。
しかし、ナノ銀溶液(ナノ銀ヘルパーA)が素晴らしい効果がある。
細胞内のナンプ菌をほとんど絶滅できることが、宇井清太の研究でわかった。

しかし、このナンプ菌も窒素の少ない所では棲息できない。
だから、山ではほとんどナンプ病は無い。
役目を終え茶色になった鞘葉
左の写真はエビネ。
7月1日の状態の「鞘葉」である。
芽出しのときは透明感のある白色。
この鞘葉に包まれて葉が出てくる。

この講座でなぜこの鞘葉の項目を書いているのか?
その理由は、ラン科植物は、一部のランにおいては、
病害菌である材木腐朽菌と共生しているものがあるということである!
森の光争奪戦の負け組みのランが・・・
窮余の一策として大きなリスクを覚悟しながら、
敵である病害菌の材木腐朽菌と絆を結ぶ生き方をしたものがある。
ランにとって、植物にとって、最も危険な時が・・・
病害菌に侵される時が芽出しの時の若い脆弱な組織である。
病害菌からみれば・・・このときを狙っている!
当然の話である。
植物が芽出しする温度は、当然病害菌も活動できる温度である。

鞘葉を持つ単子葉植物に非常に多く見られる。

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芽出し時の攻防  鞘葉の役割

   植物の泣き所は・・・芽出しの時
     病害菌はこのときを待っている!